はじめに
以前、売り上げ向上を目標としたときのアクセス指標の見方や、そこから目標数値を設定する方法などをお伝えしました。
今回は、もう少し具体的なアクセス解析の仕方について、入り口となる指標のひとつについてお話します。
ここで題材にしているGoogle Analytics(代表的なアクセス解析サービス)は日々変更が加えられていますので、操作法など、基本的な部分については、末尾のリンクより公式の情報などをご参照ください。
アクセスには2種類ある
ホームページへのアクセスは、大きく分けて2種類あります。
・新規(New Visitor)
・リピート(Returning Visitor)
※Google Analyticsでの表記
説明は不要かと思いますが、「新規」は、初めての訪問、
「リピート」は2回目以降の訪問になります。
注意してほしいのは、「新規」や「リピート」の単位は「人」ではないということです。
たとえば、ある人が初めてホームページを訪れたとします。
ある人はPCからホームページを表示させ、一回画面を閉じ、しばらくしてから、また同じページを表示させたとします。そうすると、同じ人が2回アクセスしたとカウントされます。ですので、最初のアクセスは「新規」、2回目は「リピート」になります。
また別の人は、PCを使ってホームページを表示させ、ほぼ同時にスマートフォンからも同じホームページを表示させたとします。PCもスマートフォンも、操作しているのは同じ人ですが、この場合、PCからとスマートフォンからのアクセスは別々にカウントされ、新規のアクセスが2件となります(※1)。
つまり、「人」ではなく、「訪問」が単位になっています。
上のような例を考えてみると、同じ人かどうかを厳密に見分けるのは難しいため、このような計算方法になっていることが推測できます。
いずれにせよ、Google Analyticsを使うと、ホームページへのアクセスのうち、何%が新規で、何%がリピートかを知ることができます。
※リピート比率グラフ(イメージ)
新規か、リピートか
新規とリピートについて知ることには、どんな意味があるのでしょうか。
それは、新規とリピートのそれぞれで、アクセスを増やすために打つべき施策が異なるということがあります。
その施策から行っていくかを考えるためにも、まずは現状での新規とリピート比率を知っておくことが重要になります。
あわせて、そのホームページは、新規、リピート、どちらの来訪者に向けたページなのか(=どちらの来訪者に来てほしいのか)、ということも、当然ながら重要になってきます。
リピート比率には正解がなく、業態やホームページの位置づけによって異なります。
そのため、理想的な比率は個別に考える必要があります。
一般的な例で言いますと、いわゆる日用品など比較的安価で繰り返し購入される商品を扱う通販サイトでは、リピートの比率が高いほうが売り上げが安定するので望ましいでしょう。
同じ通販サイトでも、やや高額であったり、何度も購入されない商品を扱っている場合は、比較的新規の比率が多くなるはずです。
また、新商品の告知を行うホームページでは、一般に新規の比率が多いほうが望ましいでしょうし、自社のファンに向けた広報ページでは、リピートの比率の方が高くなると考えられます。
このように、そのホームページへのアクセスについて、理想的な比率は、おおよそであれば考えることができます。
すると、「理想のアクセス比率」と「現状のアクセス比率」は近いか遠いか、ということもわかるでしょう(※2)。
それぞれのアクセスアップ施策
では、新規とリピート、それぞれのアクセスアップ施策についてみていきましょう。
施策は、大きく分けてサイト内のもの、サイト外のものがあります。
新規のアクセスアップには、まず「目に触れること」「知ってもらうこと」が重要です。
SEO対策をし、一般的な検索ワード(「りんご 販売」や「そば 生麺」など)での表示回数が増えるようにするのが基本となる取り組みです。
ポータルサイト等への登録や広告出稿なども、効果がありそうなら実施します。
呼び込みたい検索ワードに向けて広告を出し、そのリンク先を専用のページ(ランディングページ)にするという手法は、すでに広く使われています。
チラシの発行、テレビの取材を受けるなど、他メディアでの露出も効果的です。
リピートのアクセスアップでは、来訪者が「見たいコンテンツ」を「定期的に更新する」ことが重要です。
見たいコンテンツにストレスなく誘導するデザインや、ページの表示速度などサイトのアクセシビリティと呼ばれるもの(ストレスなくアクセスできるかを指標にしたもの)も影響してきます(※3)。
更新されたことをお知らせするためにメールマガジンやSNSを併用するのも効果的でしょう(※4)。
新規・リピート別 アクセスアップ施策
種別 | 意識すること | サイト内施策 | サイト外施策 |
---|---|---|---|
新規 | 認知度や表示回数 | SEO | 広告出稿(キーワード広告など)、他メディアでの露出 |
リピート | サイト満足度・アクセシビリティ | コンテンツの充実、導線等見直し | 再訪問促進(メールマガジンやSNSを利用したお知らせなど) |
リピート比率把握はアクセス解析の基本
リピート比率の把握は、ホームページを運営していく際の基本のひとつです。
この点は、実際の商店を運営する場合などとも共通していますね。
ホームページのリピート率をはじめとしたアクセス解析は、なんとなく難しい印象があるかもしれませんが、
ほとんどのものが目に見える形で数値化されているぶん、見方さえわかってしまえば、実店舗などを分析するよりずっと手軽に状況を知ることができます。
無数に指標があることが、アクセス解析を難しく思わせる一因かもしれません。
そこで、まずはこのようにリピート比率に注目してみるのはいかがでしょうか。
※1 通常は別々にカウントされますが、計測方法やアクセス状況によっては同じ人とカウントされる場合もありえます。
※2 統計学に「大数の法則」というものがあります。「大量のデータが集まるほど、データの分布は正しい姿に近くなる」というものです。データが少ないときに、たまたま例外的な値(「外れ値」)が紛れ込むと、外れ値が占める割合が高くなるため、全体の姿を見誤りやすくなります。
たとえば、商品などのレビューを☆1~☆5などの採点方式で行えるサイトで、3人がレビューしたものと、1000人がレビューしたものでは、1000人がレビューしたものの方が信頼性が高くなります。これは、たまたま3人のうち一人が特殊な観点からレビューする人だった場合、レビューの1/3が特殊な意見ということになりますが、1000人のうち一人が特殊な観点からレビューする人だったとしても、特殊な意見は1/1000に過ぎないことになります。
(たとえば、☆5が二人、☆1が一人だった場合、平均は☆3.6ですが、☆5が999人、☆1が一人の場合、平均は☆4.9です)
アクセス数がまだ少ない段階では、計測するたびにまったく違う傾向が見て取れることがあります。そういう時はまだアクセスが安定していない(アクセスの傾向を見られるだけの十分な量に達していない)と考え、傾向はあくまで一時的なものだとするのが良いでしょう。
※3 新規のアクセスでも、アクセシビリティの影響はあります(いつまでもページが表示されないので、アクセスをやめた、など)。ですが、アクセスするときに感じるストレスは、何度も訪問するたびに積もっていくものですので、リピーターへの影響が高くなると考えられます。
※4 近年はSNSが注目される傾向にありますが、SNSからのアクセスはあまり売り上げに繋がらないという説もあり、今でもメールマガジンには有効性が残っていると考えられています。
参照:
Googleアナリティクス アカデミー
Googleアナリティクス 概要
【Web担】「新規」と「リピーター」というのは、「新規ユーザー」と「リピートユーザー」のことではないので、注意が必要だ。
全然古くない!効果抜群のメルマガ配信の3つのメリット | 顧客管理・育成ツールの最新情報や基礎知識 | 知る・学ぶ | Marketing Bank (マーケティングバンク)
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